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「同じ中学だった子たち。ちょっと話してきてもいい?」
こっそり耳打ちしていたので、コクンと一つ頷き微笑んだ。
すると、チェックのプリーツスカートを翻し、美利ちゃんは2人の女子高生達のもとへと駈けて行った。
私は、ゆっくりとベンチの傍へと移動した。
そこには大きな桜の木。
立ち並ぶ桜の中でも一際大きい。
見上げると、薄紅色の小ぶりの花がこれでもかと咲き誇っていて、見応えがある。
しかし、すでに満開時期は過ぎており、枝の先には黄緑色の葉が芽吹き始めていた。
時は過ぎたと、とめどなく散りゆく花弁達。
掌を少し上に掲げると、その中に一片が乗った。
小さな花弁を見つめていると、聞き覚えのある声。
「綺麗やねぇ…」
ベンチの背もたれに手をかけて私の掌を覗き込み、いつもと変わらない笑顔を浮かべている。
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