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ねぇ、ユキ。
僕は…僕はキミがずっと好きだった。
それに嘘はなかった、なかったんだ。
ただ、僕はキミに本当の事を伝えてない…キミが僕の前から居なくなってしまうまでキミに本当の事を伝えられなかった。
本当は気づいていたのに、自分の気持ちに気付かないフリをしていたんだ。
ずっと、初めてキミに会った日からずっとキミの事を好きになっていたのに。
キミに好きという事を伝えられなかった、伝える勇気が僕にはなかったんだ。
ユキ、キミは雪が降る空が大好きだと言った。
「自分と同じ名前だからかな」
「なんだよそれ。単純だね」
「単純で良いでしょ?だって好きなんだもん」
単純だなんて言ったけど、僕はユキらしいって思った。そんなところも好きだった。
僕は…僕はユキに何かしてあげられたんだろうか。
僕がユキにして貰ったモノ何か1つでもキミに返せていたんだろうか…。
今はもう、キミは居ないからキミに問いかける事も出来ない。
僕は今もキミが居なくなった街で暮らしている。
キミはもう居ないのに、僕の全てだったキミが居ないのに…何もなかった様に時間は過ぎていくんだ。
雪が降る空を見上げても、もう何も感じない。
前はキミが隣に居て僕は幸せだった。
なのにキミが居なくなってからの世界は色が無くなってしまったみたいなんだ。
ねぇ、ユキ?
キミはこんな僕を見てどう思うかな。
怒るかな、泣くのかな。
それとも笑う?
どんな表情でも良いよ、キミに会えるなら僕はそれだけで良いんだ。
それだけで良いから、他には何も望まないよ。
だからお願い…お願いだから。
「…ユキ…」
もう一度キミに会いたい。
ずっと、キミが好きだった。
これからも、ずっと…ずっと好き。
Fin,
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