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「どうしたの?元気ないね」
「梨香子先輩」
振り返ると、梨香子先輩が笑顔で手を振りながらやってきた。
「やーね、足引き摺っちゃって。なに月曜から疲れてんのよ」
小走りで追い付いた先輩はポンと俺の背中を叩いて顔を覗きこんできた。
「……別に疲れてないですよ」
あの晩の男の腕にぶらさがる梨香子先輩を思い出して、思わず目を逸らしてしまった。
「コーヒー淹れてあげよっか?」
「あ、今飲んで来たんで」
「そっか」
いつもは断ろうものなら“相原のくせに”とか怒るくるくせに、今日はニコニコと機嫌がいい。
そんな梨香子先輩の様子になぜかまたモヤモヤした気分になった。
「そうだ。あの話聞いた?戸川君と渡辺さんの指輪の話」
「はい。今、美香先輩から」
「にわかには信じがたいわよね。戸川君、あんなに冷たかったのに」
「……そうですね」
だけどあの画像は本物で。
正直少しがっかりしてたから、話題に乗る気が起きなかった。
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