森のはじまり

3/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
 そうそして、大きな大きなこの島にある、大きな大きな森の入口の、木の葉で出来た緑色のトンネルをくぐると、森の道が森の奥へと続いています。その先はまだ見えない、それはとても長い長い道のり。  その森の道を進んでゆくと、色々な動物たちの音が聞こえてきます。目をつぶり、静かに耳を澄ますと周りから聞こえてくる音。 ヒュロロヒュロロと鳥たちの歌う音。  タタゴソタタゴソとウサギやタヌキが草陰やお花畑を走り回る音。  カサラサカサラサと猿やリスが木の葉を揺らす音。  キュルクイキュルクイと、動物がどこかで仲間を呼んでいる鳴き声の音。  今、木の葉を揺らしたのは、風の吹き抜けた音。  この大きな大きな森の中には暖かい風が吹いています。この風はどこから吹いてくるのでしょう。その暖かい風に乗って、キャラメルのような甘い香りが、この森の中に広がっています。その香りはどこからするのでしょう。  大きな大きな森の中にある、この森の道は、森の奥のさらに奥まで続いています。その森の道に並んで、緑色の丸い葉っぱがたくさん生えた木も、ずっとずっと続いているようです。暖かい風が吹くたびに、その木の葉が揺れ、葉っぱと葉っぱの揺れる音が聞こえてきます。カサラカサラっと葉っぱと葉っぱが揺れるたび、その木の葉っぱから甘い香りがしてきます。    この森に広がる甘い香りは、その葉っぱからしていたのでした。この甘い香りのする緑色の丸い葉っぱがたくさん生えた木の上では、赤く色づいた木の実を食べながら、お猿さんたちが楽しそうに遊んでいます。 その木のすぐ下の草かげでは、お猿さんたちが遊んでいるうちに落ちてしまった赤い木の実で、子リスたちが、お昼ご飯のようです。  
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!