森のはじまり

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 耳を澄ますと、今度はどこからか水の流れる音がチュロロチュロロと、聞こえてきます。長い長いこの森の道の近くには、小さな川も流れています。森の道と並ぶように流れているので、この森の色々な動物たちが集まって、あちらこちらで水飲み休憩をしているようです。その小さな川の近くのお花畑では、桜色や紅色の花びらを頭に乗せた可愛いい可愛い子ダヌキたちが蝶々を追いかけて遊んでいます。  大きな大きなこの森の中、柔らかく暖かい風が吹いています。その風は、一体どこから吹いてくるのでしょう。大きな大きなこの森の先にあるのは、大きな大きな茶色のお山です。。その茶色いお山の向こうには、さらに大きくて綺麗な瑠璃色の海がありました。  その大きくて綺麗な瑠璃色の海から生まれた暖かい風が、茶色い山を越えて、この大きな大きな森に吹いてきているのでした。  けれど、この森からはその茶色い山は全然見えないのです。だから、この森からはその海も全然見えません。一体なぜ見えないのでしょう。  それは、大きな大きなこの森の緑色が深いから、あの茶色いお山に森のみんなは、気づいていないのです。この森の緑色が深すぎて、この森のそのまた先が見えなくなって、この森のみんなは、あの茶色いお山を忘れてしまっているのかもしれません。だとしたら、茶色いお山の先にある大きくて綺麗な瑠璃色のあの海のことを、森のみんなは誰もまだ知らないのでしょう。
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