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「そうなんだ。君は無くしてしまった大切なものを探しているんだね」
「だったら、僕も手伝ってあげようか?」
とても優しいお猿さん。お猿さんはそう言うと、小鳥さんお手伝いをしようと木の上からスルスルと、小鳥さんのところへ降りてきました。
お猿さんに、小鳥さんは答えました。
「ありがとう、お猿さん。だけど、僕は一人で大丈夫だよ」
その小鳥さんの言葉を聞いて、お猿さんはとても悲しそうな顔をしています。どうして、お猿さんは悲しい顔をしているのでしょう。
するとお猿さんは、小鳥さんに言いました。
「あのね、僕はとてもとても忘れん坊で、すぐ友達のことを忘れてしまうんだ」
「この間も誰かのお手伝いをして、お礼に何かをもらった気がするんだけど、僕は一体森の誰に、何をもらったのか全然思い出せないんだ」
「だから僕は君のことを忘れてしまわないように、君ともう少しだけ一緒に遊びたいな」
お猿さんは、小鳥さんとまだサヨナラをしたくはなくて、悲しい顔をしていたのです。
小鳥さんは、少し考えていました。小鳥さんは何を考えていたのでしょう?
小鳥さんは、お猿さんに言いました。
「君は、とてもとても優しいお猿さんだから、僕の羽を一本あげるよ」
「これを頭につけていれば、きっと僕のことを忘れないでしょ」
小鳥さんはそう言うと、お猿さんに自分の羽を一本あげました。とても優しい小鳥さん。お猿さんへの素敵なプレゼントを考えていたんですね。お猿さんは、大きな笑顔で喜んでいます。
「僕ね、さっきは君のお手伝いをできなくてとても悲しかったけど」
「この羽があるから僕はとても嬉しい気持ちになったよ」
「小鳥さん、ありがとう」
お猿さんの手には、黒色・白色・黄色、三色の素敵な羽が一本。
「君の羽はキラキラしていて、とっても綺麗だよ」
お猿さんはそう言って、小鳥さんの羽をしばらく眺めると、自分の頭に小鳥さんからもらった羽を付けました。お猿さんは、小鳥さんに尋ねました。
「どうかな?この羽、僕に似合うかな?」
小鳥さんは、お猿さんの言葉にうなずくと、
「お猿さん、その羽は君にとても似合っているよ」
「僕の羽が、君の茶色い素敵な毛並みと一緒にキラキラ光って、まるでたくさんの羽が付いているみたいだね」
お猿さんは、その小鳥さんの言葉を聞いて、さっきよりも、もっともっと大きな笑顔で、大喜びしています。
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