ご褒美は甘い蜜の味（旧題：口遊んだのは、君の名前）

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『人には優しくしなさい』

そう子供の頃に習った気がする。

だから、ってわけじゃ無いけど、あたしは優しくされたいから、人にも優しくしてるつもり。

対象がカレなら余計だ。

頼まれれば、やれることはなんでもやった。

大学の時、頼まれてもないのに、カレにお弁当なんか作ってウキウキしながら部屋に行くと、玄関には見たことのないピンヒール。

安物のベッドはギシギシ鳴ってた。

もしかしたら、カレじゃないかも？　なんて少しでも思った自分をぶん殴ってやりたい。

そっとドアから覗いた先には、カレと知らない女がアンアンギシギシやってた。

結局、逃げるようにカレの家を飛び出たけど、途中でお弁当を置いて来てしまったことに気がついた。

その置いてけぼりのお弁当のお陰で、あたしが覗いてたことも判明したらしく、あっさり「別れよう」ってメールが来た。

それでおしまい。