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結局、昨日のうちに彼から連絡があるはずもなく、今朝になってもメールの一つもない。
メール、してみようかと思ったりもしたけど、止めた。
彼と出会ったのは客先で。
たまに客先でソフトのデモをするのだけど、その相手の中に彼がいた。
必死に覚えようとする態度にキュンとした。
あたしに何度も質問して、不器用ながらに覚えていって、そんな姿に支えてあげたいって思った。
その思いが恋だったのか、もう今ではそれすら分からない。
アドレスを出して彼の名前をタップする。
もう会うことは無いだろう。
会ったとしても、お互い通りすがりの通行人だ。
「……バーカ」
そうつぶやいて、ついでに着信拒否もしておいた。
また、ひとつ恋が終わった。
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