ご褒美は甘い蜜の味（旧題：口遊んだのは、君の名前）

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そして月末、今日は課長の送別会だ。

「なんか暗いね、課長」

ぼそっと呟くと隣にいた東君も無言で頷く。

本社転勤、なんて聞こえはいいけど実のところ栄転とは程遠い。

「奥さんにも散々文句言われたってさ。で、単身赴任するかどうか、家族会議だったらしいよ？」

ひそひそと交わされる会話。

課長を見ればなんだか一気に老けた気さえする。

「不甲斐ない上司で悪かったな。人のことは言えた立場じゃないが、みんな元気で頑張れよ」

それが課長の最後の言葉だった。