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「他の営業もこれをほぼ無言で渡されたってさ」 「こわ……」 「お前はいいじゃん、アシだから直で言われることないだろ? もうな、あのお綺麗な顔で無言で圧力掛けられてみ? マジ、縮みそう」 「縮んだんだ?」 「見る?」 「セクハラだし」 後半の話はどうでもいいとして、顔は良くても性格に難ありな男かぁ。 そう思ってるのはどうやらあたしだけらしく、周りの女子社員はみんな浮足立ってる。 「藤堂課長、歓迎会ですけど都合の良い日を教えてください」 ワントーン高いこの声の持ち主は、あたしより2つ上の梅田さんだ。 仕事はできるけど、教えてくれない。 ステレオタイプの意地悪な先輩なんだけど、営業マンからの信頼はある。 だから彼女はあたし達アシスタントとは違って、商圏も持ってる。 少し古い言い方をすれば、キャリアウーマンってやつだ。
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