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奪い取るようにあたしからスマホを取ると、水浸しのままバスルームを出て無造作にタオルを肩からかけると電話に出た。 「俺、なに?」 ぶっきらぼうな言い方に、やっぱり家族か、なんて思いながら濡れてる彼の身体をぽんぽんと拭いてあげる。 「優希? なんでお前が? ママは?」 ……はい? ママ? 「あ? まだ帰ってこない? ってかお前らを置いてか? あー、分かった。泣くなって、パパ、すぐに帰るから」 パ、パパぁぁぁぁぁぁ? 今のあたしの目はいつもの1.5倍くらいに大きくなってると思う。 そんなあたしの目の前で、彼は「くそっ」とバスタオルをベッドに投げつけて、脱ぎ散らかした服を着始めた。
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