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まだ何か問いたげな成瀬ちゃんに、どうでもいい豆知識を教えてあげることにした。
「ね、きのことたけのこ、どっちが好き?」
「へ」
一瞬ポカンと口を開けた成瀬ちゃんの無防備な表情に、相原君の顔がべろーんと弛む。
成瀬ちゃんはしばらく真剣に悩んでから答えてくれた。
「どっちも好きだけど、たけのこ、かなぁ」
「そっか、戸川っちと同じだね」
前に戸川っちに聞いたら、超面倒臭そうにしながら仏頂面で答えてくれた。
あいいうとこ好きだ、戸川っち。
「どっちがチョコ多いと思う?」
「うーん……たけのこ?」
「そう思うよね?それが僅かな差だけどきのこなんだって」
強烈な殺気を感じて顔を上げると、美香先輩がすごい形相でこちらを睨みつけながら横を通過する所だった。
隣を歩く梨香子先輩と目が合った瞬間、ふいっと顔を逸らされた。
「たけのこかと思った」
成瀬ちゃんはふわんと微笑んでいるのに、気持ちが陰るのは何でだろう?
目を逸らす瞬間の梨香子
先輩は見たことないぐらい無表情だった。
「あれ、相原君?珍しいね」
正面の席に、カタンとトレーが置かれた。
ここで王子の登場だ。
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