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「よし、今だ……」
あれからしばらく過ぎた社食。
成瀬ちゃんと王子の張り込みをしようにも、どうにも怖いのが美香先輩の視線。
丼かぶってにじり寄るのがNGならば、正攻法で行くべし。
相原君は丼なしの丸腰で成瀬ちゃんを直撃することに決めた。
(美香先輩に怒られた理由は丼じゃなかった気もするが)
片桐王子はトレーを持ったまま立ち話中で、成瀬ちゃんは今、座席に一人。チャンスだ。
「むむむ……緊張する……」
しかし、モタモタしてられない。
王子が来る前に突撃だ。
成瀬ちゃんはトレーの食事に手も付けず、ぼんやりと社食の人の波を眺めていた。
最近、気になってるのはそれだ。
戸川っちと離れて、成瀬ちゃんは一時期一気に痩せてしまった。
あれから見た目は元気にはなったけど、最近になって悲しそうに思い詰めた表情で時折ぼんやりするようになった。
長年成瀬ちゃんを見てきた相原君の野性の勘が、なんかまずいよと叫んでいる。
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