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「欧州、好調ですよ。戸川が数字上げてますし」
一人で泣いてる戸川っち、簡単に話題から消すもんか。
「戸川は他のフォローも出来るし守備範囲広いから、戸川が現地に入ってからは仕事しやすくなりました」
どうだ王子、連呼攻撃だぞー。
この間、成瀬ちゃんの箸はずっと止まっていた。
王子が一瞬、そんな成瀬ちゃんに目をやった。
「そう、さすがだね」
他の奴の話なら詳しく突っ込むはずなのに、やっぱり王子は戸川っちの話題は軽く流すだけ。
王子にしてみたら、戸川っちのことを今さら思い出して欲しくないんだろう。
「僕達はじきに恐怖の年末だね、成瀬さん」
むっ、王子め。
“僕達”と来たか。
「そうですね。私、年度方針の仕事もう何度目だろう」
うんざりしたような成瀬ちゃんに王子が優しい笑みを送った。
「でも、あの仕事はこれまでの経緯を熟知した人が必要だから。頼りにしてるよ」
それから王子は、相原君には分からないその仕事について成瀬ちゃんに幾つか質問した。
戸川ネタで引っ掻き回す相原君を黙らせたいんだろう。
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