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九月。戸川ポエムの夜から二ヵ月が過ぎた。
あれから相原君は日々成瀬ちゃんと王子を観察することに決めた。
(今までと変わらんけど)
「戸川っちのため、だし」
片桐王子と成瀬ちゃんの間に何か怪しい変化があれば、
あれば……、
どうするんだ?
言うと戸川っち、また泣くし。
つか、言うとあの夜盗み聞きしてたの、ばれるし。
「やっぱり言えないなー」
まあでも観察は続けるべし。
ラーメンの残り汁をすすりながら一つ隣のテーブルの成瀬ちゃんと王子を横目で眺めた。
そういや、前に残り汁全部飲んだら戸川っちが顔しかめてたっけ。
だけど丼で顔隠さなきゃ、張り込みできないじゃん。
成瀬ちゃんはいつも社食で戸川っちを見てたから、横にいた相原君の顔も当然知ってるだろうし。
「えへ、知ってるといいなー」
……そんなことはどうでもいい。
二人に視線を戻す。
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