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「ど、しよ。すごい血出てる……!」 「あー、違うって。舌って傷がちっちゃくても血だけは結構出たりすんの。俺よく殴られた時舌噛んじゃったりするけどさ、そん時もなかなか止まらないもん。だから、大丈夫。ティッシュでも噛んでるからさ」 「でも、」 「それよりせっかくサボってるんだから、まだ二人っきりでいようよ」  そう言われて、大好きな優しい微笑みを向けられてしまえば、反論することはできない。 「さっきのとこ行こ」 「え、階段? 雪野いるんじゃないの?」 「数学の出席日数ヤバイから、今日はサボらねえって言ってた。だから大丈夫」 「でも、他の人がいるかも」 「雪野のフリして睨みつけたら、皆帰るっしょ」 「ふふ、確かにね」  雪野の真似をして、眉間に皺を寄せて鋭い目つきをした潤平に、思わず気が緩んで笑ってしまう。  階段には僕たちと同じように授業をサボっている不良がいたけど、潤平が宣言どおり雪野のフリをして睨みつけると、舌打ちをしながら去っていった。  僕と潤平は顔を見合わせて笑った。
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