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「ああもう……。なんで俺が責められんだよ。あいつは好きで殴られたんだよ。潤平、殴られながらイッてたぜ」
涙が頬を流れていくのを感じた。
「心底気持ちよさそうに、ニヤけながら救急車で運ばれてった。あいつ、言ってたからな。息ができなくなるのは、痛みより『死』を感じて、気持ちよくなるって」
ああそうか。肺に穴が空いて、息ができなくなって。
「そう……」
気持ちよかったんだ?
「病院着くまでにまた勃ってたしな。皆引いてたわ」
何も聞きたくないと、僕は両手で耳を塞いだ。
いつか、潤平は本当に死んでしまうだろう。こんなことを繰り返して。でもきっと、その時には僕と一緒にいる時には感じられないような快楽を感じるんだろう。感じながら、死ぬんだ。僕と潤平の距離が縮まることは、ない。意味のないキス。意味のない触れ合いしかできないのだから。
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