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それから少し考えるように黙っていた雪野は、僕の頬を両手で包み、上を向けさせた。僕に初めて見せる、真剣な表情をした雪野。
「俺とヤる?」
「え……? 何、雪野……」
「顔も声も同じで、あっちは変態、俺は性癖はまとも。ヤるだけなら俺でいいんじゃねえの?」
ヤるだけなら。快楽を求めるだけなら、雪野を潤平だと思い込んで、セックスできるかもしれない。二人は本当に、よく似ているから。
でもそんなの、もちろん嫌だ。僕が好きなのは潤平だ。優しくて、よく笑って、思ったことは言うより早くやっちゃって、自分がおかしいってよく理解ってて、僕に悪いと思って悲しそうに笑う。
そんな潤平が好きだから。
「病院行く」
僕は雪野を教室に残したまま、病院に向かった。
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