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「退院おめでとう。これ、退院祝い」
三学期に入って初めての潤平の登校日、一緒に学校に向かいながら、僕は潤平の首にマフラーをぐるぐると巻きつけた。
潤平が入院している間にクリスマスも終わって年も明けてしまった。マフラーはクリスマスプレゼントとして用意していたのだが、「病院から出れなくて何も用意できない」と気にしていた潤平を見て、渡せなかったのだ。
「ありがとう、シン。あったかい」
笑う潤平のマフラーの下の首筋には、今は首を絞められた痕もない。身体の痣だってもうないはず。こうやって、いつでも無傷で笑っていてほしい。
そう思っていたのに。
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