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 ずるずるとシーツやら何やら引きずって、潤平がゆっくりとやってきた。僕に覆いかぶさるように、膝を折る。血の匂いがした。 「ごめんね、シン」 「うっく……、」  優しい声。温かい体温。大好きな潤平のそれに包まれて、僕の身体の強張りが解ける。堰を切ったように声をあげて泣いた。  潤平が殺されてしまう。いつか、雪野に。  『殺さないようにすっから』って、雪野は言ったけど。エスカレートするこの行為の中で、そんな加減できる? 雪野だって優しいところはある。それは知ってる。変態だって言われる潤平のことを捨て置かないで気にかけてるのだって、優しさだと思う。だけど、雪野がキレやすくて暴力的だっていうのも知ってる。機嫌次第で、いくらでも潤平を傷めつける。その拍子に殺さないなんて、どうして言い切れる?
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