雪野

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 ──春──  別に二人が俺にとって絶対に必要な人間ってわけじゃない。いなけりゃいないでどうってことない。変態と臆病者の、つまんない二人だし。  面白いことは他にある。喧嘩とか。バイクとか。女とのセックスとか。 「雪野―、なんでせっかく一限から学校いんのにサボんのさー。シンが怒ってたよ。せっかく後がキツくならないように一限から引っ張ってきたのにって」  授業をサボって屋上で寝こけてたらいつの間にか昼休みになっていて、気がつけば潤平がやってきていた。  暑くも寒くもない春の陽気は眠気を誘い、どうせ教室にいても目を開いてなんかいられない。だったら屋上に出て昼寝した方が、気分もよくて時間の有効活用ってもんだ。  双子の弟のクセに、そういう俺の考えってのがこいつにはまったく伝わらない。  俺のそんな不満も読み取らない潤平は、ガサガサと購買で買ってきたものが入ってるビニール袋を探る。 「ほら。ジャムパンとあんぱんどっちがいい?」 「ジャムパン」 「卵サンドと焼きそばパンどっちがいい?」 「卵」 「牛乳といちご牛乳は?」 「いちご」  ほいほいとリズミカルに俺に手渡してきた潤平は、自分も俺の隣に腰を下ろした。image=504615523.jpg
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