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「何やってんだ? お前濡れて……」
近づいてきて、すべってコケる。
「あはは、雪野気をつけてー」
「はあ? なんだこれ……」
雪野が近くに転がっていた料理用油のボトルに気がつく。気がつくと同時に俺を蹴り上げた。
「何してんだやめろよ! お前死にたくねえんだろ!? こころが泣くことしたくねえんだろ!?」
冷蔵庫に背中を強かにぶつける。その痛みで、我に返る。
「あ、あ、そう……そう……っ」
──おかしい。
俺はおかしい。人として欠陥がある。それが悪化していく。
おかしいおかしい。
シンと一緒にいる資格なんてない。いつかシンを、巻き込む。シンから快楽を与えられることを、求めてしまう。
俺は背中を丸めて蹲る。油に塗れながら、惨めに泣いて鼻水を垂らす。
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