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「ゆ、きの……っ、俺、どうしたらいい……!? どうしたら、シンとこれからも一緒にいられる!?」
シンと一緒にいたい。
これは本当の気持ち。なのにそれが、欲に飲み込まれてしまう瞬間がある。その瞬間に俺が追い求めるのは、自分の快楽だけ。そこにシンも雪野の姿も浮かばなくなってしまう。
なんて欠陥。こんなの人じゃない。動物だ。動物以下か。
雪野が顔を歪める。俺と同じ顔。だけど俺よりずっと綺麗だ。
「俺が、やってやるって……」
雪野は低い声で自分に言い聞かせるように呟くと、立ち上がる。椅子を持ち上げ、それを俺に振り下ろした。
丸めていた背中に走る激痛に、俺は身体を反らせた。
次は頭。咄嗟に腕でかばうと、雪野は何度も振り下ろした。
「おら! 死にたくねえんだろ!? 死ねないだろ!? 俺は殺す気だ! 殺すつもりでやってんだ!」
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