朝野さんも変化する

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心臓がぐぅ、と縮まって痛かった。どうなんだろう、あいつは、ぐるぐるとその疑問が鍋の沸騰してる辺りで一緒に煮えて来る 「…嫌だな、それは」 倫理的に嫌だし俺的にも絶賛嫌だ。嫌すぎる。死んだ奥さんにはなんの罪もないし花屋の淋しさも分からんじゃないけど。籍をもしそのままにしてるんだったらあいつは未練を立ちきれてねぇからなんじゃねぇのか ギュウ… う、痛い あぁ俺のバカ、ばかばかばか野郎。何となく流れに乗って呑気に恋に溺れようとしてたなんてあっていいのか、ばか、目を覚ませ 花屋がどんだけ違うって言ったって、俺と奥さんを重ねないわけがないってのに ピンポーン 「!」 思ってもいないタイミングでインターホンが鳴って俺はビックリして小さく「お」と呟く。その場に立ったまま壁のインターホンを見るとどアップの花屋が映っていた。いつものきらきらした目がカメラ一杯で笑うと同時に眉毛は下がる ああそうだ、そうだった。…こいつは過去も、もしかしたら今も誰かのもんかもしれねぇ。俺は花屋が今までで一番だってのに花屋にとっては違う。…その事になんで気付かなかったんだ それくらい… 細かい事が気にならねぇって事はそんだけシンプルにこいつを、俺は
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