01)赤い屋根の洋館

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オーナーが白いドアを押すとチリリーンとドアベルが鳴る。 ーー心地いい音。 「どうぞ」と背中でドアを押え、私を中へと(いざな)う。 「ありがとうございます」と彼の前を過ぎ、店の中に入った途端「うわぁ」と再度、感嘆の声が出る。 白を基調とした店内は、天井が高く、三方に大きな窓があるからだろう、とても明るく、思っていた以上に広い。 天井のアンティークライトとシーリングファンも素敵だ。そして何よりも、レトロな雰囲気が漂う店内も、前庭と同じで緑が溢れ、温室のようだ。 ここ、絶対に居心地いい! えっと、カウンター席が、いち、に、さん……八席。 それから、緑の合間に見える四人掛けのテーブル席が……こちらも八席ほど。 スペースの割には席数は少ない。 奥の方に目をやると、存在感溢れる真っ白なグランドピアノが置かれている。 あれをこのお方が弾くのだろうか? もしそうなら、きっと素敵だろう、とその姿を妄想していると……。 「ここでちょっと待っていてね」と声が掛かる。 指定されたのはカウンター席の中央。言われた通り、そこに腰を下ろす。
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