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オーナーが白いドアを押すとチリリーンとドアベルが鳴る。
ーー心地いい音。
「どうぞ」と背中でドアを押え、私を中へと誘う。
「ありがとうございます」と彼の前を過ぎ、店の中に入った途端「うわぁ」と再度、感嘆の声が出る。
白を基調とした店内は、天井が高く、三方に大きな窓があるからだろう、とても明るく、思っていた以上に広い。
天井のアンティークライトとシーリングファンも素敵だ。そして何よりも、レトロな雰囲気が漂う店内も、前庭と同じで緑が溢れ、温室のようだ。
ここ、絶対に居心地いい!
えっと、カウンター席が、いち、に、さん……八席。
それから、緑の合間に見える四人掛けのテーブル席が……こちらも八席ほど。
スペースの割には席数は少ない。
奥の方に目をやると、存在感溢れる真っ白なグランドピアノが置かれている。
あれをこのお方が弾くのだろうか? もしそうなら、きっと素敵だろう、とその姿を妄想していると……。
「ここでちょっと待っていてね」と声が掛かる。
指定されたのはカウンター席の中央。言われた通り、そこに腰を下ろす。
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