01)赤い屋根の洋館

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「さて、遅くなったけど自己紹介するね。僕はここの店主、音野響(おとのひびき)。年齢は二十六歳。独身だけど他界した両親に代わり五歳の妹、(しず)の養育権を保有しています」 我が子と言っていいほど年が離れているんだ。 オーナーがクスクス笑い始める。 あれ、もしかしたら思考がダダ漏れ? いかん! と下を向く。 「正真正銘、実の妹だよ。何を俯うつむいているの? 顔を上げて」 ハァと、あまりのバツの悪さから、俯き加減に薄目を開け彼を見る。 それを目にした彼がまた笑い出す。 「君って面白いね」 コホンと咳払いをすると、笑いを噛み締め説明をする。 「僕は母が十八歳で産んだ子で、妹は三十九歳の時の子。で、二年前、両親が事故で他界し、それ以来、僕が保護者を務めているというだけだよ」 こんなに詳しく家庭の事情を聞いてしまったら、普通は何か言わないといけないんだよね……でも、何を言えばいいの? 言葉を詰まらせているとオーナーが口を開く。
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