01)赤い屋根の洋館

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「管理栄養士の資格と調理師免許。調理も任せられるね」 「はい! メニューをひと通り食べたら、同じものが作れます」 私の珍妙な返答に、オーナーは戸惑いの色を示す。 ん? それもそうか。いきなり「食べさせろ」と言っているようなものだし……でも、これが私の特技なのだから仕方がない。 私は食べた物と同じ味の物が作れる。 弥生ちゃん曰く「味覚を感じる舌が異様に発達している人」らしい。 「へー、同じ味をねぇ。それは面白い」 少し考え、オーナーがニシャリと笑みを浮かべる。 「じゃあ、ちょっと試してみようか。目を瞑って下を向いていて」 言われた通りすると、カチャカチャ、トントン、とリズミカルな音が聞こえ、しばらくすると、ジューッの音と共に、玉葱の甘い香りとお肉が焼ける芳ばしい匂いがしてきた。 ゴクリと生唾を飲み、ジッと待つこと数分。 トンと音がし「どうぞ」の声で目を開ける。 目の前に置かれていたのは黄金色に輝くクラシカルなオムライス。 そこにはケチャップで『welcome(ウエルカム)』の文字。 別に意味はないのかもしれないが、不運続きの日々。何だか胸がジンとした。
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