874人が本棚に入れています
本棚に追加
「食べてみて」
「はい、頂きます」
両手を合わせ一礼し、スプーンで一口すくい口に入れる。
あっ、美味しい!
ケチャップ味のチキンライスにグリンピース。卵は今流行りのトロトロじゃなく、内側だけ少し半熟の、昔ながらのオムライス。
「とても懐かしい味です」
「じゃあ、こちらに回って、早速、作ってくれるかな」
コクンと頷き、厨房側に回る。手を洗っているとオーナーが言う。
「材料と調味料を言って。僕が揃えるから」
「えっと、卵、玉葱、人参、グリンピース、鶏肉……」
ステンレスの台に全て並ぶと、早速、調理に取り掛かる。
視線が気になり、少し緊張したが、それでも同じ物ができたと思う。
湯気を上げるオムライスを差し出す。
一口食べ、オーナーが目を見張る。
「全く同じ味だ。香織ちゃん、凄いね」
エッ! いきなりの名前呼び。
オムライスがどうのこうのより、そっちの方がちょっとビックリで凄く嬉しいかも。
最初のコメントを投稿しよう!