01)赤い屋根の洋館

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エヘヘと照れ笑いを浮かべ、カウンター席に戻ろうと一歩踏み出し、チリリーンの音に足が止まる。 ドアの方に目を向けると、黒髪短髪の「バリバリ硬派です」みたいなラガーマンっぽい人が、小さな女の子の手を引き入ってきた。 お休み……じゃなかった? ラガーマンは厨房側にいる私たちを見て、ちょっと驚いた表情をする。 「お前、何やってんの?」 「お兄ちゃま、ただいま」 お兄ちゃま……では、彼女が妹の静ちゃん? つばのある黄色い帽子を被った女の子が顔を上げる。 その瞬間、目を見開く。 何この輝く小動物! 透き通る白い肌に澄んだ大きな瞳と赤い唇。 オーナーをミニチュアにし、女の子にしました、みたいな感じだ。 まさしく地上に降りた天使! 「今、アルバイトの面接中」 「へー、厨房に入れるって、珍しいこともあるものだ」
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