01)赤い屋根の洋館

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話しながらラガーマンは、天使を抱き上げ、カウンター席に座らせる。そして、その横に自分も腰掛けると自己紹介を始める。 「俺は響の友人。阿部妙快(あべのみょうかい)という。名前呼びでいい」 いきなりですか。見かけによらず、フレンドリーな方だ。 「安倍晴明(あべのせいめい)の子孫だが先祖みたいに術は使えない。でも、武術は一通り経験済みだから、ボディーガードを雇いたい時は言ってくれ。安くしておく」 ボディーガードが必要になるほど、身の危険を感じたことはない。 それより安倍晴明の子孫? 本当だろうか。 クスクス笑いながらオーナーが言う。 「腕っぷしは強いけど本職はお坊さんで保父さん。コイツ、家が寺で保育園を経営しているんだ。で、静はその保育園の年長組さん」 「で」とオーナーが私を紹介する。 「彼女が、れいの花咲香織さん」 ん、『れいの』とはどういう意味? 疑問に思いながらもペコリとお辞儀をし、ラガーマンを観察する。 フム、陰陽師とは若干違うが、お坊様だから同族種みたいなもの? それよりこのラガーマンが保父さんとは……。 イケメンだけど、このガタイにクマさんエプロンとか? 想像して、思わずプププと吹き出す。
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