01)赤い屋根の洋館

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それよりこの子……。 この子の瞳に私は映っているが、私を見ていない。 よく観察しなければ分からいほどだが、もしかしたら……目が見えない? あれ? でもさっきからの行動に不自由さは見られない。 「三次審査合格」 その声で我に返る。 「香織ちゃん、明日九時に来られるかな。それから僕、オーナーって呼ばれるの好きじゃないんだ。響って呼んでくれる。今後のシフトは、明日、相談しょう」 「エッ! 名前呼び?」と驚き唖然としたのは、私ではない。妙快さんだ。 何が何だかだが、どうやら雇ってもらえるらしい。 よかった! これで生活の心配はなくなった。 「はい! ありがとうございます」 だから、静ちゃんの件は、一旦、忘れることにした。 「これからどうぞよろしくお願いします」 ペコリとお辞儀をして頭を上げると、響さんではなく妙快さんが言う。 「そんなに感謝しなくてもいいと思うぞ。長く続くか分からないし……」
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