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それよりこの子……。
この子の瞳に私は映っているが、私を見ていない。
よく観察しなければ分からいほどだが、もしかしたら……目が見えない?
あれ? でもさっきからの行動に不自由さは見られない。
「三次審査合格」
その声で我に返る。
「香織ちゃん、明日九時に来られるかな。それから僕、オーナーって呼ばれるの好きじゃないんだ。響って呼んでくれる。今後のシフトは、明日、相談しょう」
「エッ! 名前呼び?」と驚き唖然としたのは、私ではない。妙快さんだ。
何が何だかだが、どうやら雇ってもらえるらしい。
よかった! これで生活の心配はなくなった。
「はい! ありがとうございます」
だから、静ちゃんの件は、一旦、忘れることにした。
「これからどうぞよろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をして頭を上げると、響さんではなく妙快さんが言う。
「そんなに感謝しなくてもいいと思うぞ。長く続くか分からないし……」
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