02)奇妙な人たち

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「ハーッ、極楽極楽」 湯船の中で大きく伸びをし、浴槽に背をあずけ目を閉じる。 急激に下がった気温に、末端冷え性の私はついていけない。温かなお湯の中で、ジンジンする手足が緩々と解れていく。 体の感覚が戻ってくると、気持ちにも余裕が出てくる。 「長く続かない……」あれはどういう意味? 頭の片隅に置いてきぼりされた言葉が蘇り、リフレインする。 「試験期間中に、ハイ不合格って、バッサリ切られちゃうってことかな?」 パチッと目を開け、ヨッと身を起こす。 やっと決まったバイトだ。それだけは回避したい。 誰が何と言ってもあそこは辞めない! 辞めるもんですか! バチャバチャと湯を顔に掛け、それにしても、と忘れようとしていた静ちゃんのことを思い出す。 「目が見えない人が、見えるように行動する……あっ! そうか、あの場所は、彼女の……自分のテリトリーだからだ」 ムリムリ自分を納得させ、バシャンとお湯から出る。 「とにかく、何があっても負けない!」 明日のため丁寧に髪と体を洗い、シャワーで泡だらけの体を流すとモヤッとした思いも流れていく。 ヨシ、ファイトだ! 自分で自分にエールを送り、キュッとノズルを閉にする。
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