プロローグ

4/9
前へ
/362ページ
次へ
でも、そんな思いを嘲笑(あざわら)うように、更に数週間が過ぎ、季節が晩秋から初冬に変わっても、やはり届く知らせは不採用ばかり。 流石の私も自信喪失。ナメクジに塩状態。 いっそこのまま溶けてなくなり露と消えようか、と現実逃避するも、現実は悠長に待ってはくれない。 花咲香織(はなさきかおり)……履歴書にこの名を幾度書いただろう。 花も咲かぬのに花咲とはこれ如何に! と自虐ネタで、無理やり我が身を奮起させ、書き終えたばかりのそれを手に、とある場所に向かっているが、今日は就職活動ではない。
/362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

874人が本棚に入れています
本棚に追加