プロローグ

5/9
前へ
/362ページ
次へ
本当に『就活はボンビーの仲間入り!』とは上手く言ったものだ。 スーツに靴に鞄。面接会場までの交通費に、時には宿泊費。その他諸々の費用以外に、バイト時間が削られ収入は激減。 不本意だが、下宿生である私は『就活』と『貧窮』の関係を身を以て実証している。それも長期に渡って。 そんな状態の中、更に追い打ちをかける飢餓的事態が起こった。 バイト先である居酒屋の店長が、従業員一同の給料をネコババし逃走したのだ。 「申し訳ないが今月分は翌々月払いになる。それから店は今日限り閉店する」 オーナーの言葉に、働いた分は貰えるんだ、とホッとしたものの、『閉店』の二文字に目の前が真っ暗になった。 就職先も決まらない上、バイト先も失ってしまったのだ当然だろう。 正に踏んだり蹴ったり。 やはり弥生ちゃんのところでお祓いを受けようかと真剣に考え始め、ハタと気付く。地獄の沙汰も金次第、お祓いをしてもらうにもお金は必要だ。
/362ページ

最初のコメントを投稿しよう!

874人が本棚に入れています
本棚に追加