霊愛レストラン『メモリー』

03）メモリーの常連客

「あら、色白さんでお目目パッチリだし、ビション・フリーゼの子犬みたいで可愛いわよ。ねぇ、マスター」

ビション・フリーゼの子犬ってどんな犬？

こんな風に、唯一、優しく庇護してくれるのは、八百春(やおしゅん)の奥さんで、三人の子を持つ澄子(すみこ)さん。

八百春も花水木商店街に店舗を構える一軒だ。

契約農家から仕入れた野菜は産地直送品で、割高だが、安心安全、且つ、新鮮な上、美味しいと評判だ。メモリーの野菜は全てここから仕入れている。

注文の品を届けると、澄子さんは必ず玄さんの二つ左の席で休憩していく。
お目当ては、響さんお手製のケーキ。

癒し系で肝っ玉母さんの彼女がカウンターにいると、ホッ和む。特に、あの二人がいる時は！　と玄さんとリリーをチラ見する。