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冷たい向かい風を受けながら、トボトボ駅に向かって歩く。
終電まで十五分ほどある。急がなくても十分間合う。
星が瞬く夜空を見上げながら、明日、どうしよう、と今更ながら後悔する。
あの時の感情は、個人的なものだ。それを響さんにぶつけ……。
「ウワァァァ……私、睨んじゃったよ、響さんのこと」
おまけに後片付けもせず、帰ってしまった。バイトとしてあるまじき行為だ。
「あー、もう、最低!」
シンと静まり返った夜間の呟きは、意外にも大きく辺りに響いた。
「お嬢ちゃん、何が最低なの?」
「俺たちが最高にしてあげようか」
ヘッ? まさか返事があるとは思わなかった。
驚きで足が止まる。
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