霊愛レストラン『メモリー』

04）ひとつ屋根の下

人？　振り向くと三人の男が、寒そうに背中を丸め立っていた。
サラリーマン風の身なりだが、どことなく堅気に見えない。

どうしよう。これはヤバイかも。

「突っ立っていても寒いだけだぞ。温めてやるから一緒に来いよ」

ダイヤのピアス男が、逃さないぞ、と乱暴に手首を掴む。
男の手首には金のブレスレット、五本の指には数個の指輪があった。

危機的状況にもかかわらず、豪華な男の手をボーと眺めながら、今日はよく手首を掴まれる日だなぁ、と思っていると、オールバックの黒髪男が肩に腕を回す。

甘ったるくキツイ香水の匂いに、顔が歪む。

「へーっ、よく見ると可愛い顔してるじゃないか。恐怖に引き攣った顔、そそるねぇ」

何を勘違いしているのか、薄い唇を舌なめずりする。