4831人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
神様仏様
嘘だと言って下さい……!!
小洒落た創作居酒屋の前で、佇むわたし達に向かって、歩いて来た男女が3名。
その一番後ろから顔を覗かせた男を確認すること数秒、自分の血の気が引いて行くのを感じ取った。
どうして此処に山形 俊弥が居るの??
その端正な大きな瞳でわたしを一瞥したかと思うと、意味ありげに細めた。
僅かに口角をにやりと上げながら。
小刻みに震えるわたしの握り締められた掌などお構いなしに、わたし達6名はテーブル席に通された。
よりによって目の前の席に着いたのは、この男。
「市川俊弥です」
笑顔を作り名乗った男を、恐る恐る窺い見る。
──間違いない。
名字が変わっているようだけど、変わらない面影がある。
相変わらずの、無駄に整った憎たらしい顔だ。
最初のコメントを投稿しよう!