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──いつかそんな未来が、やって来るだろうか。
数十分前に新たな年を迎え、多くの人で賑わう近所の神社へと足を運んだ。
ガランガランと鈴を鳴らし、掌を二回鳴らして瞳を閉じる。
ずっと一緒に、いられますように。
ゆっくりと心の中で唱え瞼を上げると、隣の人が薄く微笑む。
「何、一生懸命お願いしてんの」
「……秘密」
お互い小吉だったおみくじを笹に結び、鳥居を抜けると懐かしい記憶が呼び起こされた。
「そういえばあの河川敷、此処からすぐだよね」
「……行ってみる?」
わたしの独り言のようなつぶやきに乗ってくれて、俊弥も思い入れを持っているようで嬉しくなる。
「わー、すっごい久しぶり」
「真っ暗で何も見えねー。こけんなよ」
闇に包まれた深夜の河川敷なんて特に面白味もないのに、新年を迎え高まったテンションも手伝ってか、上機嫌ではしゃいでいた。
スマートフォンで足元を照らしながら、並んで腰掛ける。
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