未来を築く

27/30
前へ
/220ページ
次へ
──いつかそんな未来が、やって来るだろうか。 数十分前に新たな年を迎え、多くの人で賑わう近所の神社へと足を運んだ。 ガランガランと鈴を鳴らし、掌を二回鳴らして瞳を閉じる。 ずっと一緒に、いられますように。 ゆっくりと心の中で唱え瞼を上げると、隣の人が薄く微笑む。 「何、一生懸命お願いしてんの」 「……秘密」 お互い小吉だったおみくじを笹に結び、鳥居を抜けると懐かしい記憶が呼び起こされた。 「そういえばあの河川敷、此処からすぐだよね」 「……行ってみる?」 わたしの独り言のようなつぶやきに乗ってくれて、俊弥も思い入れを持っているようで嬉しくなる。 「わー、すっごい久しぶり」 「真っ暗で何も見えねー。こけんなよ」 闇に包まれた深夜の河川敷なんて特に面白味もないのに、新年を迎え高まったテンションも手伝ってか、上機嫌ではしゃいでいた。 スマートフォンで足元を照らしながら、並んで腰掛ける。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4900人が本棚に入れています
本棚に追加