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お前も同じだと言われたが、俺は人を喰らい、そうして落ちに落ちて、自分が唯一持っていた美しさを捨てた。 俺は生まれ変わって、醜くなったのだ。 男は、痛みに歯をくいしばって立ち上がると、朱雀大路を西に折れた。 西寺の塀に手をついて、ゆっくりゆっくり、あの廃寺を目指す。 1年前、高揚して走り抜けた道を、足を引きずり、よろけながら進む。 ただ、男の目には行く先を見定めた強い光があった。 長い時間をかけて廃寺にたどり着く。 あの時と同じに、闇の中に崩れ落ちそうな本堂と老木があった。 男は、立っていることもかなわなくなり、這うように老木の根元へと向かう。 いつのまにか、老木の脇に白い着物の男が立っていた。 男は、苦痛に顔をゆがめながら、懇願する。 「俺を、俺を喰らってくれ。俺を喰らって、花を咲かせてくれ」 白い着物の男が、ふわりと手を上げた。 男は、身体の下の地面から、根が突き出てくるのを感じた。 「俺は、花になるんだ。美しい花・・・」 根は、男に皆まで言わせることなく、その身体を絡めとった。 男の身体を這いまわり、そのすべてを吸いつくす。 やがて根が地に戻ると、主を失った着物が1枚ひらりと風に舞う。 その上では、つぼみが次々とほころんでいった。 濃密な闇の中、匂うように美しい桜が、花の盛りを迎える。     
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