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桜が彩る並木道。
花びら舞い散るその道で、
少女が一人泣いていた。
合わないブーツで
音を鳴らしなから、
男が一人近寄った。
帽子を脱いで一言言った。
〝迷い込んだのはどっちだい〟
彼女は泣き止み、
愚図りながらこう言った。
〝遠い遠い小鳥さん〟
〝幸せ逃がした小鳥さん〟
男は帽子をかぶり直すと、
飴を一つ取り出した。
棒つきの赤い飴。
彼女の手を取り、
小さな手に握らせた。
そのまま、
不格好な格好で、
そのまま歩く。
彼女は、
また泣いた。
だけど口に飴を入れながら、
ちょっと間抜けな可愛い姿で、
男が行った道の後ろで泣いていた。
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