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少女は寂しかった。
相手にされない自分が、
だからいつも泣いていた。
嘘の涙が本当の涙に変わるのに、
時間はそうかからない。
待つのはこんなに、
長いのに、
なんで待つのは苦しいの、
しゃくりながら、
泣いている。
見ていたのはいつもいつも、
地面の冷たいコンクリート。
それを知っても、
まだ昇る息は
ため息をくれない。
でも、雨は好きだった。
だって冷たい涙とは違って、
火照ったからだを
冷たくしてくれるから。
だから雨は好きだった。
いつの間にか泣くことしか
やることがわからなかった彼女は、
花びら落ちる並木道で、
優しく撫でる手を探してる。
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