婚約発表～海事女子の叫び

少し先の休憩室まで行くと、地声でがなり立てる重鎮様方の野太い声が廊下まで響いていた。

うーむ……。
こっちはこっちでヘビーだ。

やっぱ、今日はコーヒーいいや。

くるりと向きを変えたところで、後ろから呼び止められた。

「相原」

この声……梨香子先輩だ。

前はよく構ってくれたのに、いつからだろう、最近はあまり喋ってくれなくなっていた。

何か気に障ることしちゃったのかなぁ、とか。

何となく気になってたから、声をかけられてもどんな顔をしていいのか分からなかった。

「あの……」

「ちょうど良かった。呼びにいくとこだったのよ」

梨香子先輩はそう言いながら歩み寄ると、俺の手からマグを取った。

久々に向けてくれる笑顔にちょっとホッとする。