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「これ後で洗ってあげるからさ。ちょっと休憩室に来てよ」
梨香子先輩が優しいのは嬉しいけど、わざわざ重鎮様のアジトに誘い込まれるのは過去の経験からしてやめた方がいいと本能が告げている。
「いや、休憩室はちょっと……」
逃げようとしたけど、ベルトをグイと掴まれた。
「コーヒー淹れてあげるよ。私が淹れるの美味しいんだから」
見上げてくる梨香子先輩の笑顔が前よりもずっと優しくなった気がする。
「でもインスタントですよね。味一緒ですよ、誰が淹れても」
「文句言うんじゃないよ、相原のくせに」
ムッとした梨香子先輩に思いきり背中をどつかれた。
いや……優しくなってないか。
「すみません」
でも梨香子先輩にベルトをぐいぐい引かれながら思う。
うん、やっぱりこれだ。
以前に戻れたようで、何となく嬉しかった。
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