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やんやの騒ぎの中、チラッと美香先輩の様子を窺った。
一緒になって騒いでるけど、あの指輪の相手はどうなったんだ?
あのメールの後、取り扱い有りとの返答に、海外送金やら何やら、相原君はかなりややこしい手続きを押しつけられた。
でも、なぜか会社ではとにかく隠し通したいようで、謝りつつそれは幾度も念押しされた。
何の事情があるのか、単純なようで本音を隠すのが上手い、重鎮様の年輪だなと思う。
一方、騒ぎはまったく収まる様子がなかった。
「もうさ、片桐王子でもいいじゃん。いい遺伝子持ってるし」
「うん、それは言えてる」
「でもあたしら束になってかかっても、選ばれるのは一人だよ」
自分達の中から選ばれると信じて疑わない、この強靱な自己肯定力は謎だ。
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