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「はぁ……疲れた」
トボトボと廊下を戻る俺の肩を、誰かがポンと叩いた。
「ひっ」
「何よ、その反応。失礼ね」
俺のマグを振りながら梨香子先輩が横に並んだ。
「少し待ってよ。すぐにコーヒー淹れてあげるから」
「いや、でも悪いし」
「あんた、滅多にコーヒーも淹れてもらってないじゃないの」
「そうですけど……」
給湯室にはもう若い子達の姿はなかった。
お湯を沸かす間にマグを洗ってくれる梨香子先輩の背中を眺めた。
先輩の背中、ちっさいんだな。
腕の中に、二人分ぐらい入っちゃいそうだ。
水を止めたりする度にツヤツヤの髪が揺れる。
柔らかそうで、見てて飽きなかった。
あれから、先輩があの彼氏らしき人といるのを何度か見たけど、そのうち別の相手に変わった。
どれも先輩とお似合いの、年上風の男。
相原君なんて、せいぜい弟でいいとこなんだろう。
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