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翌日の朝礼。
諸連絡と当番制のスピーチが終わり、司会が締めに入った時。
「僕から一件!」
米州部長がパンパンと手を叩いて前に出た。
「えー、皆さんに大変めでたいお知らせがある!」
片桐王子と成瀬ちゃんの婚約か?
ソレ、朝礼で言うことなんだろうか。
つか、めでたくない。
女子にはもちろん大惨事だけど、一番悲惨なのは戸川っちだ。
涙ながらに突っ伏してたあの日の戸川っちを思うと、相原君はまた鼻水を垂れ流しそうだ。
「最近、米州部が新組織立ち上げで経企室と一緒に仕事しているのはご存じかと思うがー」
米州部長はよっぽど嬉しいのか、満足げに皆を見渡しながら声を張り上げた。
そう、部長は成瀬ちゃんが大のお気に入りなのだ。
「経企室の担当者の成瀬主任が、この度婚約された。……なんと!」
そこで一旦言葉を切って、意味不明に両手をパンと打ち鳴らした。
「この海事の男性社員と、だ!」
一同、反応なし。
部長。王子は経企室です。
もう海事じゃないです。
米州部長は王子のことをいまだに部下だと思っているらしい。
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