第一章 闇をまといし者

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古来より人々は妖怪にその生存を脅かされてきた。 魑魅魍魎の勢力は強く、これまで何度も重大な危機に直面した。 徳川家康が江戸幕府をひらき戦乱の時代が終わった頃、妖怪の脅威が国を襲う。 ぎりぎりの攻防の中で人々は必死に対抗する術を模索するが、これまでになく力を増していく妖怪たちに敗北寸前まで追い詰められてしまった。 そんな中、一人の忍者が「闇の忍術」なるものを編み出す。 「闇の忍術」とは己の魂を闇に食わせることと引き換えに絶大なる闇の力を得る禁断の忍術。 闇の忍術を操る者の周囲には闇がたちこめるため、人々は彼らのことを「闇をまといし者」と呼んだ。 連続で闇の忍術を操れば命は十日ほどで食われ、強い術を使えば一日で命を落とすこともある。この忍術を使う者は完全に闇に魂を食われる前に毒を飲み自決しなければならない。さもなくば、自身が恐ろしき妖怪になってしまうからだ。 彼らの命と引き替えによって妖怪達は退治され、徳川家康はこの先も妖怪の脅威から江戸を守るため巨大な封印を張った。 しばし平穏の時が流れた。
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