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だがそれも長くは続かなかった。
闇の忍術を用いて己が欲望を満たそうとする者が現れ、さらには命を喰われる前に自決することなく闇に魂のすべてを食わせ自ら妖怪となり人間を食らいはじめたのだ。
危機を覚えた徳川家康は闇の忍術を封印するよう命令する。
闇の忍術書はそのほとんどが燃やされ、それ以降闇をまといし者を見た者はいない。
そして今、時は三代目将軍徳川家光の時代に至る。
江戸に張られた巨大な結界は人々を妖怪の脅威から遠ざけ平和をもたらし徳川繁栄の礎ともなったが、家光の代となるとその結界の効力が薄れ、江戸の周囲では次第に妖怪たちが出現するようになった。
徳川家光は選りすぐりの結界師はもちろん伊賀忍者、甲賀忍者の多くを結界の守護に向かわせているが、結界の効力が日に日に落ちているのは明らかでこのままでは結界が破られるのも時間の問題。
頭を悩ませる家光であったが、もう一つ悩んでいることがあった。
それは徳川家光の娘、陽姫のことだ。
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