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重い大剣を背に、私は砂漠を歩いていた。
キャンプから出発してもう既に一時間以上も歩いているが、目的の獲物はまだ見つからない。
今日こそはアイツを倒してみせる。
そう意気込んで村を出たのは良いものの、獲物が見付からなければ倒しようがない。
探していないエリアは次で最後だ。
半分諦めながら次のエリアへと続く脇道を通ろうと視線を岩山へと向けた時、ふと不自然に膨らむ砂山が目に止まった。
よく見てみると、先端からリズムよく砂が小さく吹き上がっている。
アイツだ。
アイツは砂の中に身を隠す習性がある。今は無防備な状態。チャンスだ。
私は背に担いだ大剣を手に取り、渾身の一撃をお見舞いするため力を溜め込む。
気取られないように息を潜め、最大限の力が溜まるまでぐっと堪える。
ギシギシと刃の軋む音が静かに鳴り始める。
そして___
「だぁぁあああ!!」
キィィィンと高い金属音を発しながら、私は大剣を砂山目掛け振り下ろした。
飛び散る血しぶきと共に、空を震わすほどの大声を轟かせアイツは姿を現した。
大きな口。鋭い爪と牙。魚の様な体。
そして、1年前、私の相棒が私を逃がすためにアイツに付けた右目の傷。
「今日こそ仇を討ってやる!」
意気込む私に向かい、大口を開けながら尋常ではない速さで接近してくる。
「くっ!」
大剣を背にしまい、ギリギリの所で緊急回避をする。
一筋縄ではいかない。
だが、この日のために修行を積み重ねてきたのだ。
負けるわけにはいかない。
強い思いを胸に、私は再び大剣を振り上げた____。
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